マスメディアに流されるな。カナル型イヤホンで難聴はさらに加速する。

「イヤホン難聴」という言葉をご存じだろうか。
もしかしたら、マスメディアで取り扱っている特集でご存知の方もいるかもしれない。

特に若年層を中心とした「スマホ世代」に発生しているという傷病のことだ。
大音量でイヤホンを利用することで、耳に障害が残る、というのだ。

なるほどそうかもしれない。
しかし、マスメディアが報じたもの全てが真実とは限らない。

「イヤホン難聴から逃れる方法」が、さらに難聴を加速させていることだってあるのだ。

マスメディアの主張:大音量が内耳を破壊する

イヤホンで音楽を聴く事は、内耳(耳の最深部にある、音を感じる部分)にダメージを与える、というのが一般的な主張だ。

チェンソー並みの大音量

例えば、MP3プレイヤーを70%のボリュームで聞いたとき、イヤホンから出力されるのは約85db。
チェーンソーやオートバイの騒音量が100dbだというのだから、相当大きな音量である事がわかる。

「騒音誘発性難聴(NIHL/Noise-induced hearing loss)」と呼ばれ、継続的に大ボリュームの音量を聞いていると、その聴力は失われてしまうのだそうだ。

コロラド大学の2006年の研究によると、毎日5分フルボリュームでiPodを使用(純正イヤホンにて)すると、失聴の可能性がある、という。

騒音性難聴の対策は?

月並みに「音量を制限する」という手がベターであるし、そう主張しているメディアは多い。
実際に、再生機器側でも「音量のリミッター」が付いているものもあり、その方法論からのアプローチは進んでいるものと思われる。

問題は、使用機器からのアプローチだ。

以下はある日本向けメディアからの引用である。
名誉のため、名前は伏せる。

電車の中などの騒がしい場所では、イヤホンのように耳の穴に装着して使うタイプのものをすすめる。耳栓のように外部の音を遮断することで、より小さな音量でも明瞭(めいりょう)に、音を聞くことができるからだ。

ここで紹介している耳栓型とは、人気の「カナル型」イヤホンのことだ。

カナル型の名称は、外耳口に続く「外耳道」を指す。
つまり、「耳の穴(の中)」。

近年増加するカナル型が、「イヤホン難聴」を促進している事に、メディアは気付いていない。

隠された罠:カナル型イヤホンの欠点とは

そもそも、カナル型では「外部の音声が入らない」から、「小音量で済む」という論旨だ。

しかし、外部の騒音が小さくなることと、我々が音量を調整することはイコールではない。
オーディオファイル(Audiophile)な我々は、雑音の無い環境を歓迎こそすれ、音量をセーブするようなことはしないはずだ。

それどころか、カナル型イヤホンはさらに深刻な事態を引き起こす。

上の図を見てほしい。
カナル型イヤホンを耳に装着した時の、外耳道と鼓膜の模式図だ。

ほんの小さな空間に、(鼓膜比べると)大きなスピーカーがついていることが分かる。
そしてさらに注目してほしいのは、この空間が「密閉されている」ということ。

再認識してほしい。

音とは、空気の振動だ。
音楽とは、音色のついた衝撃に他ならない。

密閉した空間で発された「衝撃」はどうなるのか、想像してみてほしい。

密閉されたゴムボールが車に踏みつけられた時。
空気で膨らんだ風船を握りつぶした時。

逃げ場のない衝撃は、一番デリケートな構造体である「鼓膜」に集中し、ダメージとして蓄積される。

これこそが、騒音性難聴を促進し、被害を拡大している真の原因かもしれないのだ。

本当に安全な対策とは

前述のコロラド大学の同じ報告書によると、70%の音量であれば、1日4時間程度の視聴ならば安全性はより高まるという。
やはり「音量の制限」は何よりの対策になる。

ヘッドホンこそが、我々の救世主。

では、音量制限以外には対策はないのか。
一つだけある。
それは「ヘッドホン」を使用することだ。

外耳を覆うように着用するヘッドホンであれば、密閉性の面でも鼓膜との距離においても、危険性は相当低くなると考えられる。

快適なオーディオライフを

モバイル機器、特にスマートデバイスが発展してきた昨今。
常に電子機器を持ち歩き、常にイヤホンを聞くことも、珍しくなくなってきた。

でも私とっては人々は、「イヤホンで何かを聞くという行為」に執着しすぎているように見えてならない。
街中で『皆が示し合わせたようにイヤホンを着ける』姿は、滑稽で仕方がない。

騒音を遠ざけるために
自分の世界を確立するために
好きな音楽を楽しむために

様々な理由によってイヤホンに耳を傾けるのだろうが、一度「本来の目的」を振り返ってみてはどうだろうか。

それを見つめなおすことこそが、「イヤホン難聴」の、最も根本的で絶対的な対策なのかもしれない。

参考

Earbuds – TeensHealth.org

Stop the Headphone Hurt

Asius Technologies Keynote at Accelerate 2016

マスメディアに流されるな。カナル型イヤホンで難聴はさらに加速する。” への3件のフィードバック

  1. じゃあ、耳が悪くなることを我々はしてたってことか?

    1. 確かに、イヤホンを外した後、耳が痛くなるものね。
      あれは、鼓膜がダメージを受けているってことなのね。

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